エマニュエル・トッド『家族システムの起源』を読む①

エマニュエル・トッド『家族システムの起源』を読む①

読むというより目を通しているだけのものだろうけれど、この大著に挑戦している。やっとユーラシア編の中国と日本をよみ終わった。

思うにこのトッドの方法論は、科学としての人口学と、人文知としての歴史学を結びつけたものと紹介されているが、その意味するところがやっとわかったような気がする。 構造主義批判から出てくるのだと言うこともあらためて確認した。 かなり昔、構造主義が日本で紹介され始めたころ頃、むさぼり読んだことを思い出して、感慨はひとしおだった。〈構造〉なるものを人間の無意識下に発見したと言うことに驚き、これはすごいことだと熱中したのが懐かしく思い出される。

構造主義はその後、レヴィ=ストロースが賞賛されそして貶められそしてまた復活すると言う経過をたどったけれども、いままさに乗り越えられていると言う姿を確認して時間の流れを感じている。

トッドの方法論が、決して彼の研究する分野だけではなく広く拡大されることになるだろうということは予想される。

それより先にレヴィ=ストロースのMDF婚(母親交叉イトコ婚)をもって女性の交換と流れを示したというのがそのメインテーマであったのでそれが完全に否定されているのが新鮮だったことを付け加えておかないといけないだろう。

それは「第3章中国とその周辺分」にあって、湖北省で4.6%、台湾で1.5%というたかだか数%の例であって、これを以て一般構造であるかのごとく示したのは無理があったのだ。

こう書いている。

「MDF婚の率は、あまりにも低く、これをもって何らかのシステム、規則、掟があると考えるには無理があると言うことになる」

トッドはそもそもが構造主義では解明されないとして、歴史学の方法に取りいれたのであって、むしろ方向は逆であった。なぜ説明できないのだろうかという問いかけによって歴史学へと向かったと言うことだった。

このことはもっと私なりに一般化するなら人口動態学と言う科学を持って分析した中身を人文知の歴史学によって腑分けしたと言うようなものだと読める。

人間の数そして年齢の分布、性差そして生活形態としての家族構造システムというものが、イデオロギー(生活性を超えたある特定の社会観を持つ)という主張には、やはり目から鱗だったけれど、それだけでは説明できない。なぜならその人口学的構造が分かれば、そのイデオロギーも変わるかというとそうではなくて、まだ残存しているゾンビみたいなものが残っていることが説明されないからだ。

例えば日本の現状はどんどん核家族が増えているにもかかわらず未だに直系家族的な思考が幽霊のように顔を出す。

それがなぜそういうことになるのかと言う事はやはり日本の過去はどうだったのかということを検討してみなければいけないと言うことになる。これは歴史研究である人の心の心性を腑分けしてみないことにはわからない。またこれは科学ではできないことなのだ。

人は生命としての身体的条件と心的な過程を持っているので、それを無視することはできない。有り体に言えば人は心を持っているということだ。

そうだとすると外的な条件である科学的分析と心的な過程の分析としての歴史学は必要になって来るということは言うまでもないだろう。

昨日、堀茂樹先生とTwitterにおいて応答してその答えを確認した。おかげで、読み間違いがなかったと安心して一気に読み進めそうな気がする。誰かほかの権威に確認してもらわないと安心できないなんていう情けないことだが、ヒトってそんなもんだ。

最後にこの方法が応用できると、ひらめいたのは例えば日本古代史における邪馬台国論争などは、初めに九州説、畿内説ありきと決めての論争であったのだ。無理やりに文献的に押し込めたり、逆に「南」を「東」の間違いだろうと読みかえたりしても仕方がないのであった。

そうではなくて考古学的事実と文献研究的事実を突き合わせて、そして心性の動きも考慮に入れなければならない。天皇制批判派にとっても擁護派にとっても不都合かもしれない真実が見えてくるのではないかと思うのだ。

これは使えるぞと心が踊っている。

いずれ、その研究もしてみたいと思うのでこのブログで登場することになるだろう。けっして「読む」と言うようなレベルではなかったのでおおきなことは言えないのだが、大いに興味をそそる本である。まだ、下巻に上巻の半分が残っているのだが読了したらまたコメントしよう。

(また、エマニュエル・トッドについては今年の1月に後援会に出かけているのでそのブログをかいています。

この時不透明だった部分がかなり鮮明になってきたように思います。)

http://ameblo.jp/rarara4321/entry-12125267050.html

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