高橋たか子『夜の客 遠いあなたへ 不思議な縁』CD付き

高橋たか子『夜の客 遠いあなたへ 不思議な縁』CD付き

ひょんなことから手に入れた、今年7月の新刊。

高橋たか子という懐かしい名前にひかれて読み始めたが、これは70年代のラジオドラマの脚本とCD付き。これはラジオドラマだけれども、先日朗読会に行って声に出して読むということに気づいた。そもそも、声に出して読むほうが文学史的には先なので、黙読するものという常識は間違っているのだけれど、おもしろいものだという印象を受けた。高橋はテレビドラマをきらいラジオを愛したとこの本の帯内容的には70年代にふさわしい、自我の高度化と分類できる作品群であるけれど、CDに収録されている「誘惑者」が原本どおりではなく脚色されていることによって、本にある文字原稿を眼で追いながら聞くと少しおもむきが違っているという印象を受けた。しかし、これはこれで面白いものだ。おそらく高橋たか子のラジオドラマを発掘して本にしようとした人たちの思いがこもっているのだろう。

しかし、聞くというのは何回も聞かないと理解できないということもあるので、そうだとするとやはり少し長いか? 耳から心にしみいるように言葉が入ってくるというのがラジオドラマだとしたら、これは本というものの本来の姿であって、みんなで聴くものではない。ひとりできくのだ。近代文学の精神の闇屋としての機能を十分かかえもっているといえるだろう。

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