クリスン・ハン+キース・ハート『経済人類学』 もう一つの不満
経済人類学と呼ぶものに二つある。一つは核心に向かって、ずんずん進んでいって、知的興奮を覚えるものであり、もう一つはカニのようによこに横に進み、核心の周りをまわり続けるだけで核心に至らないものだ。
よくお勉強されましたね、というだけのものだ。
本書は後者であって不満がのこった。退屈であった。もっと現実をえぐるような新自由主義への批判であり、それに代わる方法を主張するものであってほしかった。カール・ポランニーの言説がそうであったように。
本書の帯に「グローバルな新自由主義的経済に代わるオルタナティブな方法論とは?」とある。とんでもないことである。
こんな言説で、新自由主義に勝てるわけない。もっと現実をえぐらないと!

帯に注目
なぜ、迫力がないのかというとそれは一つには実在するものだけを扱った分析であり内的構造に言及しないからだと思う。