エマニュエル・トッド『世界の未来』 ふと日本に絶望してしまう

エマニュエル・トッド『世界の未来』 ふと日本に絶望してしまう

エマニュエル・トッドに関してはずっと読み続けていて、本国のフランスよりよく紹介されている知識人として認知している。本書はそんな知識人であるトッドの著作ではなくインタビュー記事だけれども2017年11月7日附けだというので最近の情況認識を確認できる一冊になっている。

ホモ・サピエンスの誕生時は核家族から始まったのだとするサピエンス史を著作した本が早く翻訳されることを望むとともに『家族システムの起源』を読んでいるものとしては、けっして驚くようなことではないが、人類史上に位置づけられることはそれだけで意味はある。(何が意味があるのかというと人類はもともと核家族の形態が原型だということ、つまり直系家族の形態は本来の姿ではないということなのだ)

そんなことより関心事はやはり日本に関してのコメントで、日本の現状について語っているニつについて、やはりそうかという思いで、いささか暗澹たる気がした。

ひとつは2017年の10月にあった総選挙について質問者が投票率が低かったとはいえ日本国民は自民党をえらびましたと質問したのに答えて、

ただ日本のシステムでは、構造的に反政府側の場所があると思います。日本の政治システムの無意識の領域にあるのは、直系家族の中の兄弟関係のシステムではないでしょうか。長子相続の直系家族でいうと政権に近くない朝日新聞はいわば弟分なのです。(笑)

と言うあたりが、絶望的な気にさせるのだ。

直系家族の中の長男と次男の争いというのが、いまだにそうなのかという確認であり、かなり核家族が増え、単身者世帯が増加する中でも直系家族主義的な政権が居座るというのはあまりに時代遅れだと思うのは私だけではないだろう。

ヤッパリというか、ここにこそ日本の停滞があり、真の問題を隠ぺいさせているのだと感じざるを得ない。

おなじことは少子化問題についても言えることで、トッドは日本の人口減少に警笛を鳴らしている。現政権は本音では6000万人ぐらいがちょうどいいのだと考えているようで、少子化問題をうたいながらも本気にならないのはそういった思惑にあるのだろう。しかし、人口の減少は確実に国力を落としていくし、気が付いたときにはもう手遅れになってしまうという危機感を共有している。

逆にこういった少子化容認論が、貧困の問題やら、格差拡大へ思考停止に陥らせているのではないだろうか。

また、日本社会の停滞を生んでいる。

人口減少は日本よりも中国の方がもっと深刻で、13億人の国の人口減少は有史以来誰も経験したことがないことので、なにが起こるかわからないという。

それにしても、なんだか先は暗いような気がしてならないが、この日本を覆っているもやっとした怠惰はなんだろう?

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