内田樹 編『人口減少社会の未来学』 人口減少問題について考える

内田樹 編『人口減少社会の未来学』 人口減少問題について考える

人口減少問題について考える前に、そもそも人口減少は問題なのか?

そう考えてみるとことは決して無駄ではない。このまま出生数と死亡数を維持して続けていくなら、日本の人口は6000万人まで減少するという推測のもとこれは問題だということで、少子化問題として浮上している。しかし、本気で政府が対策しているようにも思えず、どうも心の底では減少してもいいと思っているふしがある。

それとは異なり、内田の問いかけに10人が応答したという構成になっている。この要点を箇条書きに並べると次のようだろう。

①池田清彦は「キャリングキャパシティー」(環境収容力)という概念をもちだして、人間も生物だからはかの生物と同じようにいくら増殖するといっても限りがあり、50億人ぐらいで安定するだろうという。

②井上智洋は人口が減少しても汎用AIが出てきて生産性は減少しないだろとのべ、人口が減少しても大丈夫だと言っているようだ。

③藻谷浩介は「次世代再生率」というのが維持できればいいのではないかという。それは0歳から4歳の人口を25歳から39歳までの人口の1/3で割るというもので、これが90%なら維持可能で100%以上なら増加していくという。ちなみに現在の日本は68%、首都圏では52%ときわめて危ない。

④平川克美は明解である。少子化の原因は晩婚化であり、対策としては安心して子供を産める環境を整えていくいかないだろうという。

⑤ブレディミカコは縮小経済の危険を欧州を例に熱弁をふるう。

⑥隈研吾は建築の話がなぜ人口減少の話とつながるのかイマイチ意味不明だ。

⑦平田オリザは地方の人口減少問題に警笛を鳴らすが、それは地方の問題で日本の人口減少のもんだいではなく、移動の問題だろうと思える。(別に地方の人口減少の問題がどうでもいいということじゃないけれど)

⑧高橋博之なると自然にもどることが日本が息をふきかえすというスローガンになっていてななんともステレオタイプな分析になっていて唖然とする。都市と地方をかき混ぜる「関係人口」を創出するって何なんだ? 要は田舎が都市とつながりたいということで、現状のシステムとは別のところで作るという反権力的な発想だけでは心もとない。

⑨小田嶋隆は、少子化問題などあてにならないと喝破する。そもそも少子化問題などあるのかと疑問を提出する。単に「経営者目線」にたって労働力がほしいだけのことじゃないかという。そう、そもそも人口減少問題などあるのかと問わねばならない。

⑩姜尚中は日本は「熱い近代」から「斜陽日本」の段階に入ったという。それはもう押しとどめることはできないとして、それではどういう国を目指すのかというと「コンパクトでスマートな中規模国家」だという。確かにどういう国にしたいのかというヴィジョンも無いのに人口減少問題もないだろう。

読了して感じることは人口減少はどう食い止めるかということではなく、むしろ何らかの現象を現しているということで、それが何なのかを考えてみる方が大事なのではないかと思える。人口が減少するには、それなりの理由があるわけだから、その理由の方が大切だということだろうか。

そうかと言っても、まだまだ生活の安全と安心を担保するのは国単位であろうから、国力の低下する人口減少には対処しなければならないだろう。②の井上のいう「頭脳資本主義」が早く確立されるならともかく間に合いそうもないので、やはり人口減少は問題になるだろう。その時の政策は単に女性にたくさん産んでもらうことだというバカげたことをいうまえに、無める環境を整える事しかないだろう。産む産まないは個人の問題だから政治は立ち入ることはできなのだから。

その目安はというとやはり③でしめした「次世代再生率」ということではないだろうか。90%はほしいところだろう。

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