番外編 オイコスの会@京都に参加して

番外編 オイコスの会に参加して知的刺激をうけたこと

8月26日京都のオイコスの会に出席して感動したことを覚書として残しておきたいおもって書きはじめましたがうまくまとまらず、頭の中を整理していて時間がかかってしまいました。

今回は小野昌弘先生をお招きしてのお話だったのですが、何に一番感動したのかというと「時間の空間化」ということでした。これは小野先生の発した言葉で、何のことや分からずに、懇親会でもこの話題で盛り上がったのですが、何とか理解した点を述べておきます。

その前に小野昌弘先生はイギリス在住の免疫学者で、15年にもわたる研究成果を一段落させたので、研究成果を論文に発表するとともに一般向けにブログに発評されました。それは以下です。↓

https://news.yahoo.co.jp/byline/onomasahiro/20180713-00089278/

このブログとおなじ内容を話されたのではなく、演題は「科学とはなにか」であって、その話の過程でこの研究内容についてふれられたのでした。以下、このブログを一読されたものとして話を進めますが、すごいなと感動したのは、これまでの免疫学の測定データが「スナップ写真」のように瞬間だったこと、それ故に時間軸で測定しなければならない事態に直面していたことがあげられます。それをどうして観察するかというとブログにもあるように「蛍光蛋白は、蛋白になった瞬間は青い蛍光を発するが4時間で赤い蛍光に自然に成熟する」という性質を利用して時間軸に添って観察してみようという方法でした。

「時間の空間化」とはこのことだったのですが、つまり正しくは色の織りなすグラデュレーションという空間化によって時間のインターバルを測ったというものだったのです。「時間の空間化」ではなくむしろ「空間の時間化」だったのです。それにしても、この発想は素晴らしい、賢いなぁと思います。ちょっとやそっとでは思いつかない。また、この発想を思いついたのが、アニメの『君の名は』を見ていた時に思いついたというトリビアな情報にも驚きました。いつも考えているからピント閃くんでしょうね。

もう一つは「だんだんと時間が遅くなるのです」と言われたことで、これを時間そのものが遅延していくのか、ブラックホールに近づくと時空がゆがめられるようなことかとおもったら、どうもそういったはなしではなく、このブログの「Bending et al,J,Cell Biol,2018」の引用図AにあるようにBlueからRedまではT1/2(半減期)が7hなのに対してRedからDecayT1/2が20hとあるのでこのことかもしれないと思います。BlueからRedまでは早いのにRedからDecay(退化)していくのが遅くなるということかもしれません。ともかく時間そのものの伸び縮みのことではなかったようです。

強引に短くまとめてみたので、なんのことはわからにかもしれませんが、この研究が単に思いついたということではなく、先生のブログの冒頭に述べれているように、安易なT細胞の臨床試験で悲劇がおきていたという問題意識から出発しているということで、これが重要なのです。現実の抜き差しならない問題意識から出発しているということが重要なのだと思います。

この研究が評価されるにはあと、5年から10年はかかるだろうとおっしゃっていましたが、それは免疫学者たちに任せておいて、われら素人にとっては、確実な知識としての科学ということが重要で、科学的と称するものはたくさんありますが、〈科学的と科学〉はちがうものなのだということ、自然科学といい社会科学と言うが、じつは社会科学などは存在しない。せいぜい科学的なだけなのだ。なぜなら再現性がないし、実験できないからだということ。そういう科学ということばに惑わされないこと、そしてその知は結論が出るには時間がかかるということを知ることではないでしょうか? しかし、これが人類にとって唯一手にした確実な知識なのですから、この営みは大切にしなければなりません。

これ以外にも興味深いこともあったのですが、一番印象に残ったのが、私にはこれだったということです。

オイコスの会については以下。

http://oikos.jp/

余談ですが、今回も福島原発の放射線被害について、懇親会で質問してみました。先回と同じ初期被曝についてなのですが、小野先生をリスペクトしつつ、納得はできませんでした。次回、機会があればもっと勉強しておいて質問するつもりです。むろん科学としての問題意識です。