藤谷治『小説は君のためにある』ちくまプリマー新書にふさわしい

藤谷治『小説は君のためにある』ちくまプリマー新書にふさわしい

藤谷のデビュー作である『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』を読んだ時は、面白いとおもった。そのあとの二作目、三作目はあまりピンとこなかったので諦めてしまった経験がある。

今回、このプリマ新書を手にして、藤谷の小説観はやはりオーソドックスな小説観なのだと分かった。18世紀19世紀型のリアリズムと言っていいようなのもので、それは確かに万人に支持されるだろうと思う。コチラは少し斜に構えて、それを超えるものはないかというのが願いだから、すこし小説観が違う。しかし、さすがに歳食ってそう反抗ばかりしておれないと妥協するにいたっている。だってオーソドックスな小説の方が豊かであることは間違いないから。

そんなことはともかく、プリマ―新書だからヤングアダルト向けということだが、オールドアダルトにもいいんじゃないか? 150枚ぐらいで短いというのがまずいい。つぎに活字が大きい。わかりやすい文章。軽い(本の重さが)。などなどだ。

藤谷の小説の薦めは何回も出てくる次のフレーズに収まるだろう。

「小説は、君が読んでいる時にだけ存在する。そしてきみが読んだ小説は、君によって評価される。」

書く自由もあるが読む自由もあるというのがいいね。そして勝手に評価しろというのもいい。

そういうものだ。読んでいる時にしか存在しないというのもそのとおりだ。

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